1. 非共有結合型キラルドミノ効果
- Noncovalent Chiral Domino Effect -

 N末端にアミノ基を有する光学不活性なヘリカルペプチドは、その内部に不斉単位を持たないため、巻き方向(右巻きと左巻き)を優先しない。
 そこに、N末端アミノ基と相互作用を引き起こすキラルな因子(キラルカルボン酸)を添加することにより、N末端で配位したキラル分子の不斉環境がペプチド鎖のヘリックスセンスを制御し、片方の巻き方向を優先するという現象を見い出した。

Noncovalent Chiral Domino Effect

 この現象は、外部からのキラル分子の作用によって、N末端で発生したキラリティがヘリックス鎖全体に「ドミノ倒し」のように伝播し、片方のらせんを発現することから、 「非共有結合型キラルドミノ効果;Noncovalent Chiral Domino Effect (NCDE)」と定義した。

文献: Inai, Y.; Tagawa, K.; Takasu, A.; Hirabayashi, T.; Oshikawa, T.; Yamashita, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 11731-11732. (b) Inai, Y. Recent Research Developments in Macromolecules; Managing Ed., Pandalai, S. G. Research Signpost: India, 2002; Chapter 2.

  

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